お墓参りといえばお盆やお彼岸を思い浮かべますが、最近では元日やお正月の三が日に、新年の挨拶としてお墓参りをされる方も増えているようです。ご先祖に一年の報告とともに感謝をし、新年を新たな気持ちでスタートさせたいという願いからでしょう。
そんなお墓参りをテーマに、全国約200社の石材店で組織される「一般社団法人 全国優良石材店の会」(事務局:東京都品川区、会長:吉田 岳、略称:全優石)が第2回目となる「今風お墓参り川柳」募集を行いました。このほどその審査結果がまとまり、入賞作の発表となりました。全国から葉書、メールなどで約1万2500句を超える応募作が集まり、その中から10名が選ばれました。2024年を象徴する流行語や事象を織り込んだ今風のクスッと笑える、ちょっとほほえましい秀逸な作品が勢ぞろいです。(入賞作は作品、ペンネーム、性別、居住地域順です)こうしたお墓参り川柳傑作選を通して、歳の瀬に今年一年を振り返るのも一興ではないでしょうか。
2024年といえばパリオリンピックが開催され、日本人選手が大活躍しました。柔道、レスリング、フェンシング、体操、女子やり投げなどで合計20個の金メダルを獲得しました。そんなオリンピックを取り上げた作品は
・パリ五輪
輝きは メダルに負けぬ 墓磨き けんちゃん/女性/ 岐阜県 恵那市
2024年7月には一万円、五千円、千円の3券種の新札が発行されました。新しい紙幣の顔には渋沢栄一、津田梅子、北里柴三郎が描かれています。今年はこの新札にまつわる川柳の投稿も目立ちました。
・新札
新札と 孫をお披露目 墓参り ごん太/男性/神奈川県 横浜市瀬谷区
政治の世界では選択的夫婦別姓制度の導入をめぐる議論が白熱しました。そこで
・夫婦別姓
夫婦別姓 変わらぬ絆 一つ墓 じいじ/男性/埼玉県 桶川市
夫婦別性になっても、一つの墓に入り夫婦仲睦まじくいつまでも過ごすほほえましい家族の様子がうかがえます。
10月に実施された衆議院選挙では自民、公明の与党が過半数を割る結果となりました。2024年を象徴する大きな出来事です。
・過半数割れ
故郷も 過半数割れ 参る墓 爺メン67/男性/大阪府 茨木市 過疎化が進んだ故郷のお墓にお参りする人が激減した様子を、残念な気持ちを込めて詠んでいます。
原材料費の高騰、ウクライナ戦争や円安などの影響で物価高を感じた年でもあります。お墓にその物価高が影響し始めたことを物語るのが以下の作品です。
・物価高
お供えの 数で感じる 物価高 ぶー/女性/大阪府 吹田市
物価高関連のテーマでは、他に米不足、円安をテーマにした応募が多数ありました。
2024年は猛暑日が過去最多を記録しました。国連のグテーレス国連事務総長が、地球は「沸騰に近づいている」と7月に警告を発しました。応募作の中にもお盆の猛暑の中のお墓参りをテーマとした作品が多くありました。
・猛暑
墓参り ネッククーラー 巻いたまま うめやえのきだけ/男性/山口県 下関市
インスタ映えなどSNSからブームとなった言葉「映える」(ばえる)が若者を中心に流行しました。さっそく
・映える
花添えて 映えるお墓を 子に送る カルダモン/女性/東京都 武蔵野市
厚生労働省の調査よると、2022年度の改葬件数が過去最大の15万件超を記録し、墓じまいが加速しています。核家族化によるお墓の継承者難、お墓が地方にある、お墓を継承したくないなどが背景にあります。そんな墓じまいを思い留めさせる一句として
・墓じまい
手を合わす 孫見て止めた 墓じまい 元気オヤジ/男性/長野県 駒ヶ根市 墓じまいを考えていたおじいちゃんが、お孫さんのお墓参りを契機に墓じまいを翻意する姿が思い浮かびます。
流行語ではありませんが、お
墓の持つ意義を感じさせてくれる川柳2作品も入賞しました。
・叱ってほしくて
もう一度 叱ってほしくて 墓参り 桃李/男性/ 静岡県 伊豆の国市
・先祖あり
先祖あり 故に我あり 墓があり ラッパさん/男性/静岡県 駿東郡
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