2013年3月

津波の教訓を未来に残す「津波記憶石」が大船渡市「綾里駅」前に

日時計型で、光と影が刻々と動き、あの日の教訓を伝える

地元出身の津波研究家 山下文男氏の「津波てんでんこ」の教えを刻む


TOP メールでの問い合わせ

 東日本大震災での津波の事実と教訓を後世に伝えるとともに、亡くなられた方々の慰霊の気持ちを込めた「津波記憶石」が、岩手県大船渡市三陸町綾里にある三陸鉄道南リアス線「綾里駅」(りょうりえき)駅前広場に建立される。あの日、津波を逃れてきた人々は、この駅前広場までやっとの思いで辿り着き無事を確認した場所である。日時計をモチーフにした「津波記憶石」は、3月26日に除幕式を行う。

 北海道から沖縄まで、全国の優良石材店約300社で構成する墓石業者の全国組織「一般社団法人 全国優良石材店の会」(略称・全優石、会長・吉田剛、事務局・東京都品川区上大崎3-8-5)の「命の復幸計画」事業の一環として建立される。計画では岩手、宮城、福島など津波被害を受けた沿岸地域に建立を目指している。すでに2011年12月に岩手県釜石市の根浜海岸に第1号を建立、2012年3月に気仙沼市の小泉小学校に第2号、6月に岩手県釜石市唐丹町本郷に3番目〜25番目を建立、今回で 26番目になる。

石材提供や石材加工、施工などは全優石加盟の株式会社石井石材(本社・静岡県伊東市音無町1-35、社長・石井 幸弘)がボランティアで行う。

デザインは静岡岡県伊東市の石彫家で、アトリエ獏を主宰する高橋 朗さん(1953年、山形生まれ)が買ってでた。建立場所については、次のような背景から決めた。綾里駅前広場は震災時多くの人が逃れてきた象徴的な場所である。また綾里駅そのものが、人の出会いや別れを象徴する場である。さらに三陸鉄道が地元の人々の通勤、通学、高齢者の重要な足であり、この地域を訪れる旅行者などの玄関口となっている。

デザインについては、人智を超えた地球規模の「震災」であったこと、震災の日時、時間を記憶に残し、後世に伝えるために日時計の要素を持たせた。日時計の直角三角形の角度は綾里地区の経度39度。地面から山側に伸びる長辺は、震災時により高台へと人々を誘導する意味を持たせた。また、縁石の直径部分に彫り込まれたラインは、津波到達ラインを示している。さらに半径の長さにの石に象嵌された、三角形の赤御影石の先端は 3.11 14:46 刻々と変化する光と影が運命のあの時刻と重なる。

碑文には、地元大船渡出身の津波史研究家の山下文男氏の「津波てんでんこ」の教えを刻んだ。てんでんことは、三陸地方で言い伝えられている言葉で、てんでばらばらの意味。津波の際には親や兄弟にも構わずにとにかく逃げろ、そうすることで一家全滅を逃れることができる、という意味合いを持つ。そうでもしないと逃げ切れないという、津波から避難することの難しさを示している。

この言葉を広めたのが、津波の怖さを訴え続けてきた山下文男氏である。自身が1896(明治29)年の明治三陸地震津波で祖母ら親族3人が犠牲になり、9歳だった1933年の昭和三陸地震津波では高台に逃げて、難を逃れた。東日本大震災では、入院中の岩手県陸前高田市の病院で津波に襲われ、九死に一生を得た。「日本自然災害学会賞」(功績賞)、「平成15年度防災功労者表彰」(内閣府)、「岩手日報社文化賞」を受賞している。昨年年12月、肺炎のため盛岡市の病院で死去した。以下が碑文。

想起せよ、東日本大震災の惨事を
大地震があったら必ず津波が襲来すると思へ
一刻も早く高台に避難せよ
逃げたら絶対にもどるな
自分の命は 自分で守れ
津波てんでんこの教えを忘れるな
永々と後世に語り継ぐ教えとして、この碑を建立する
平成25年3月吉日

80数年の生涯で3回も巨大津波を体験した先人が語る言葉は、ずしりと重い。

なお、「津波記憶石」には、ステンレスに刻まれたQRコードが貼り付けられ、訪れた人が携帯電話で読み取るとホームページにリンク、津波前の街や津波の様子、そして未来に伝えるメッセージなどを見ることができる

参考:三陸町綾里地区の被害状況

津波遡上高さは、綾里漁港で16.09m、田浜地区13.73m、小石浜地区17.27m、最も高い白浜地区が24.58m
死者数28名、行方不明者3名、流失倒壊家屋142戸

参考:津波記憶石

今回の震災では、先人から受け継いだ教訓を守ってきたことで集落ごと被害を免れた地域がある。岩手県宮古市の姉吉(あねよし)地区もそのひとつで、「此処より下に家を建てるな」の津波石で話題になった。これがヒントになり「津波記憶石プロジェクト」が生まれた。ウオーターラインや人々の目に付きやすい場所に行政や地域住民の要望と協力を得ながら「津波記憶石」を建て永く後世に語り継いでいってもらいたいとの願いだ。

参考:津波記憶石関連リンク

■全優石のホームページ
http://www.zenyuseki.or.jp/

■全優石津波記憶石プロジェクト
http://www.tsunami-kioku.jp/

■株式会社石井石材ホームページ
http://www.ishii-sekizai.co.jp/main.html

■岩手県釜石市の根浜海岸に建立された第1号についてのリリース参照
http://www.info-ginza.com/zenyuseki/tsunami/tsunami1.html

■宮城県気仙沼市の市立小泉小学校に建立された第2号についてのリリース参照
http://www.info-ginza.com/zenyuseki/kesennuma/kesennuma.html

■岩手県釜石市唐丹町本郷に建立された3番目〜25番目についてのリリース参照
http://www.info-ginza.com/zenyuseki/12touni/touni.html

■「東日本大震災お墓修復支援隊」についてのリリース参照
http://www.info-ginza.com/zenyuseki/shien/shien.html


「津波記憶石」デザイン画
高橋 朗さん
「津波記憶石」加工風景

画像(GIF画像)をクリックすると解像度の高いJPEG画像表示され、ダウンロードできます。


報道お問い合わせは
■一般社団法人 全国優良石材店の会  事務局長 山崎 正子
東京都品川区上大崎3-8-5(〒141-0021) 
電話 03-5423-4014  FAX 03-5423-4050  E-Mail  zenyuseki@triton.ocn.ne.jp

■インフォメーションセンター  佐々木 勉
東京都中央区銀座1-22-10 銀座ストークビル(〒104-0061)
電話 03-3563-3181  FAX 03-3562-5267 携帯電話 090-4729-0545
E-Mail  sasaki@Info-ginza.com