2010年6月23日

石材とステンドグラスなど異素材の組み合わせが斬新

川のように湾曲したステンドグラス入りお墓がニューデザイン特別賞に

「第16回全優石ニューデザインお墓写真コンテスト」の結果発表

憧れのポルシェの置物、愛用のピアノのミニュチュア、

婚家の隣に実家のお墓を一緒に改葬など、時代とともに多様化


まとめ

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グリーン色の墓石の中央を川が流れるようにゆるやかに湾曲したステンドグラスが嵌め込まれ、墓石には「道 A way」の彫刻が施された芸術性にあふれたお墓が、「第16回全優石ニューデザインお墓写真コンテスト」の「お墓ニューデザイン特別賞」に決定した。59歳の若さで亡くなったご主人のために、仙台市泉区の西村眞理さん(59歳)が建立したもの。杜の都、仙台市のシンボルともなっている定禅寺通りのケヤキ並木に置かれていても違和感のないお墓と、西村さんは自負する。

「第16回全優石ニューデザインお墓写真コンテスト」は、北海道から沖縄まで、全国の優良石材店約300社によって構成される墓石業者の全国組織「全優石」(正式名称:一般社団法人 全国優良石材店の会、会長:吉田剛、事務局:東京都品川区上大崎3-8-5)が実施したもので、今年で16回目。新しいデザインのお墓、個性的なお墓、オリジナルなお墓の写真を全国規模で公募した。応募資格はお墓の所有者かその家族、または家族の了解を得た石材店という限定付き。今年4月30日の締め切りまでに29人から応募が寄せられた。審査の上、ニューデザイン特別賞1名、ニューデザイン賞19名が決定した。なお、ニューデザイン大賞は今回該当者なしとなった。

特別賞を受賞した西村さんは「杜の都・仙台で生きた主人です。彩り鮮やかなインド産のグリーンの墓石を選びました。いつまでも色褪せにくい質の墓石とステンドグラスが、太陽の光や天気によって、いつも違う表情を見せてくれます」と満足気に語る。

ニューデザイン特別賞 西村眞理さん

ニューデザイン賞には、19人が選ばれた。

西村さんと同じようにステンドグラスを組み合わせたお墓で入賞したのは、仙台市太白区の小野田健一さん(72歳)。急逝した奥様のために、10年来の趣味であったステンドグラス付きのお墓建立を決意。「雅」と刻んだ墓碑の下に夫婦で旅した思い出のマッターホルの山並み、その墓碑の両脇に、石製の額縁に嵌め込まれた花をテーマとした2枚のステンドグラスが飾られる。光の加減でステンドグラスの彩が変わる.

参考:墓石とステンドグラスやブロンズといった異素材の組み合わせは最近増えている。2009年の入賞者の熊本県八代市の岡野文明さん建立の寿陵墓は、花の好きなお母さんの意見でバラの花のステンドグラスを墓石中央に丸く嵌め込んである。

2007年のニューデザイン特別賞に選ばれた新潟県上越市の椿えり子さんが40歳の若さで亡くなったご主人のために建てたお墓もステンドグラス入り。仕事の合間をみては日本海で、好きなウインドサーフィンを楽しんでいた亡夫のために、ボードを半分に切ったようなインド産の赤御影石に、日本海の夕陽をイメージしたステンドグラスを嵌め込んだ。

ニューデザイン賞 小野田健一さん
音楽家であった亡母のために、墓石に音符とミニュチュアの石製ピアノを建立した千葉県山武郡の宮崎豊久さん(40歳)はニューデザイン賞に選ばれた。実際に母が愛用していたピアノの縮小版をピアノ演奏会のステージのように設置、墓石中央には華やかな母のイメージにピッタリな真っ赤なバラのステンドグラスを嵌め込んだ。
ニューデザイン賞 宮崎豊久さん
趣味の芸能をお墓づくりに取り入れて、ニューデザイン賞に選ばれた静岡県焼津市の中川明美さんのお墓は、よさこい踊りに熱中していた亡父のために墓石中央に「舞」の文字、鳴子のレリーフで、衣装を翻し全身で天に舞い上がるかのように踊る亡父のイメージを刻みこんだ。

参考:音楽、芸能をモチーフとした過去の入賞者をみてみると、2009年にニューデザイン賞になった仙台市青葉区の日下洋美さんは、亡くなったご主人のために建てた。洋美さんが結婚式の時に歌う「愛の讃歌」が好きだったので、墓石に「愛の讃歌」のメロディを刻み、前に小さなピアノを置いた。同じく2009年にニューデザイン賞を受賞した北海道帯広市の大友俊雄さんの生前墓は、趣味で打ち込んでいる十勝の郷土芸能「平原太鼓」をドーンと墓石にし、座右銘の「打てば響く」を大きく彫刻している。

ニューデザイン賞 中川明美さん

仙台市泉区の松山和子さん(54歳)は娘2人と相談して建てたお墓でニューデザイン賞に入賞した。車大好き、特にポルシェに憧れていた亡夫のために、「風になれ 雲になれ 星なれ」の文字入り墓石の前に、石製のポルシェを設置した。生前に叶えられなかった夢実現。特徴があって、他のお墓と間違うこともないと満足気。

ニューデザイン賞 松山和子さん
同じく故人ゆかりの品を墓前に設置してニューデザイン賞に入選したのは熊本市の山中謙一さん(42歳)。ラグビーをしていた亡父を思い出しながら、石造のラグビーボールを作り墓前に設置した。墓石には「永遠に」の文字と、桜の花.....チラチラ舞い散る花びらを描いている。
ニューデザイン賞 山中謙一さん
ニューデザイン賞となった奈良県葛城市の川村恵之さん(54歳)が、22歳の若さで亡くなった一人息子のために建立したお墓も、故人ゆかりの品を墓前に、のタイプである。遺影写真をサンドブラストという石材加工技術で石版に刻み、好きだった卓球のラケット、愛車の「オデッセイ」を墓前に設置した。また、特徴的なのは石作りの記帳台を設けていること。記帳のお願いも白い石で作ったノートに「本日はお参りいただき、ありがとうございます。せっかくですので、ご記帳お願いします」と記される。その下の扉の中に記帳ノートが入っている。記帳された内容は天国にいる、亡き息子にきっと届けられることだろう。
ニューデザイン賞 川村恵之さん 遺影の前に卓球のラケット、愛車の「オデッセイ」 石作りの記帳台
参考:お参りしてくれた人のメッセージを受ける、天国に届けるという発想では、2004年のニューデザイン大賞となった、埼玉県さいたま市の加藤 隆さん建立のお墓が忘れられない。オートバイレースの決勝で不慮の事故のために帰らぬ人となった息子、大治郎さんのお墓で、ありし日の息子が疾走する勇姿を描いたレリーフとともに、石で作った郵便ポストを設置した「あの世に届け、ポスト付お墓」。絶えることなくファンのお参りがあり、献花とともにメッセージがポストに届けられる。
北海道旭川市の北田博義さんはベンチ付きお墓、ペットと一緒に入れるお墓でニューデザイン賞に入った。「いつも笑っていた、花のようなやさしいイメージ」の亡妻のために、開いた花びらをかたどった墓碑銘に「美笑」(みそ)の文字、各所に花をイメージしたお墓である。石製のベンチ、2個のスツールを設置し、お墓参りでゆっくりできるようにしてある。亡妻が愛し、すでに亡くなっているペットの猫も一緒に眠る。

参考:ペットと一緒にというタイプでは、2009年のニューデザイン大賞を受けた東京都八王子市の小野麻紀さんと有紀さん姉妹が建てた「虹の橋」型お墓も同じだ。アーチ型(四半円)の墓石に、鮮やかな赤、橙、黄、緑、青、藍、紫の7色の虹をペンキで描いてある。虹の橋の表面には人とペットの足跡が刻まれ、虹の下には空を連想させるガラスが嵌め込まれている。ペット好きの姉妹が、亡くなったペットと、天国で再会できるように願った。

また、ベンチ付きお墓という点では、2003年のニューデザイン大賞となった静岡県御前崎市の菊池進吾さん建立の応接ソファー付きお墓が先輩格である。亡くなった父親が最も愛着をもっていた自宅の居間。革張りのソファーが置かれ、テーブルがある。そんな居間をお墓の前に石でそっくり再現したお墓。これなら墓参りをそそくさと済ませる感覚ではなく、墓前でゆっくり寛ぎ、故人と語り合える。

ニューデザイン賞 北田博義さん
職業をお墓の形に反映してニューデザイン賞に入賞したのは岩手県紫波郡の浅沼克男さん(63歳)。家族全員が養鶏に従事してきた歴史をいつまでも伝えたいという願いを込め、大きな卵型のお墓。

参考:職業をお墓に反映させたタイプはこれまでも数多い。1998年のニューデザイン大賞には石川県小松市の北村憲一さんの洋服型お墓が選ばれた。洋服仕立業で生計を立てた亡夫を偲んで建立した。

2004年の特別賞となった神奈川県相模原市の漆原鶴子さんのお墓は、18歳で国鉄に入社し、車掌の仕事をしながら34年間、鉄道一筋の人生を送った亡夫のためにSLの形に。今頃はきっと、車掌となり、時には旅人となり、SLの旅を満喫していることだろうと静かに語る。また、2009年の特別賞の香川県高松市の野沢妃登子さんは、航空管制官だった亡夫のために、高松空港近くの墓地に滑走路、ジャンボジェット機、そして管制塔型お墓を建てた。大掛かりな状況設定に圧倒される。

ニューデザイン賞 浅沼克男さん
お墓の形そのもの、あるいは墓石にお花を彫刻という傾向も強くなっている。今回のニューデザイン賞に入賞した岡山県倉敷市の中村和夫さん(63歳)のお墓もセンス良く花をあしらっている。亡くなった母親を病院から連れて帰る途中、桜が満開だったのが印象的で桜の花を、また花の大好きな奥様の意見で季節の花をセンス良く彫刻した。
ニューデザイン賞 中村和夫さん
同じくニューデザイン賞に入賞した仙台市青葉区の奥村弘子さん(69歳)のお墓は、難病で10年間の闘病を経て亡くなったご主人のお墓。明るく美しい所で過ごして欲しいと願い、赤のインド御影石に、棘のない白いバラの花を彫刻、またご主人の優しさを想って「優」の字、さらに平和を願い白い鳩を彫った。
ニューデザイン賞 奥村弘子さん
花テーマのニューデザイン賞は他にもいる。仙台市泉区の村山利男さん(61歳)のお墓は、奥様が花好きで、庭に咲くバラの植木を参考に墓面にバラがレリーフされている。バラのツルの飾罫の中に英語で家名とFamilyの文字が彫られているが、iの文字はバラのつぼみといったこだわりよう。
ニューデザイン賞 村山利男さん
書道をテーマとしたお墓も増えている。亡き人が書いた筆書き文字を彫刻といったケースが多いが、書道用具を墓石に配置するケースもある。ニューデザイン賞に入った石川県金沢市の井上優さん(63歳)のお墓は、書道が好きだった亡父への想いを込めて、実際に使用していた書道用墨をかたどっている。また、台座は硯を、高炉は水差しを、白い部分は紙に見立てている。という。

参考:書道をテーマとしたお墓は、2009年に特別賞を受賞した札幌市中央区の小原道城さんの例がある。自らの書道家人生を象徴するものとして、すずり型の墓石に自らの雅号を彫刻し、横に大きな筆を配置。「書の美術館」風に仕上げた威風堂々のお墓。このお墓建立を機に、さらに書の世界に邁進したいと決意を新たにする。

ニューデザイン賞 井上優さん
ニューデザイン賞の静岡県伊東市の堀口武彦さん(69歳)は、海のそばで生まれ、育ち、生活してきた母にはぴったりのお墓を自らデザインした。墓石中央が盛り上がり、そこに自ら筆をとった「海」の文字が浮かび上がる。「海より生まれ 海へと還る」、母も、我々家族の思いも、海と共にこの地で永遠に生き続けていくと語る。
ニューデザイン賞 堀口武彦さん
ニューデザイン賞に入賞した家具デザイナーである熊本県八代郡の古島 隆さん(61歳)は、亡父も家具職人であった。異なる方向の木材をつなぐ「仕口」手法を石で実現。苗字の「ふるしま」のイニシャルFを墓標の形にした。お墓という意識よりも、家族全員の記念碑という位置づけでお墓づくりを行ったという。古島さんのように建築家、デザイナーなどが、自らのセンスを活かし、自ら納得するお墓をデザインするケースも増えている。
ニューデザイン賞 古島 隆さん
熊本県熊本市の西野浩二さん(49歳)は、墓地の置かれている悪い立地条件を克服するお墓でニューデザイン賞を受賞した。河川敷にある墓地で、大雨になるとしばしば浸水する悪条件。そこで雪国などの住宅に見られるように基礎を高くした「高床式」のお墓。墓石中央を丸くくり貫き、そこにバラの花のステンドグラスを嵌め込んだしゃれたデザインになっている。
ニューデザイン賞 西野浩二さん
家に見立てたお墓でニューデザイン賞となった宮城県多賀城市の船山 宏さん(55歳)。自衛官であった父のために建立した。いずれ、私も妻も母もお世話になる墓、家・ホームをイメージしたお墓の中で、また一緒に楽しい来世を迎えられることができそうと船山さん。平和の時代がこれからも続くようにと、お墓中心部分をくり貫きガラスを嵌め込み、そこに「和」の文字が描かれる。

参考:家がテーマのお墓では、2005年にニューデザイン賞を受けた仙台市泉区の遠藤成之さんが亡くなった奥様のために建てたお墓は、現在住んでいる家をイメージした2階建ての瀟洒な家型お墓。

ニューデザイン賞 船山 宏さん
愛知県豊田市の三岡靖隆さん(44歳)は、最近亡くなった父親のために、母、自分、息子の親子3代で相談してデザインしたお墓でニューデザイン賞に選ばれた。四方形の墓地なのに、あえて東の角に入口を設けてある。墓碑は7歳の息子が自発的に書いてくれた。不規則ではあるが、シンプル。代々受け継ぐお墓を、3世代で協力して建てたことに大きな意義を感じている。また、3世代でお墓参りがしやすいお墓になっていると語る。
ニューデザイン賞 三岡靖隆さん
お墓の形、デザイン面ではなく、最近増えている改葬、お墓の建替え。リフォームでの新たな考え方でニューデザイン賞に選ばれたのが、北海道滝川市の岩上 進さん(58歳)。自分の家のお墓のリフォームを機会に、奥様の実家のお墓を同じ墓地に引越し、やはりリフォーム。ひとつ屋根の下ならぬ、ひとつ墓地でリフォームすることができたと大喜び。両家のお墓はお雛様のように、仲良く並んでお参りにくる人を迎える。
ニューデザイン賞 岩上 進さん
同じくニューデザイン賞に選ばれた熊本県熊本市の木付隆子さん(59歳)は、亡くなった夫の入る「わが家のお墓」を建て替える機会に、実家の墓も同じデザインで改葬した。亡き主人も、私の実家の父母やご先祖様の隣で、元気だった頃のようにお酒を酌み交わし私達の事を見守っているような気がしますと木付さん。

お墓の継承者難を改葬、リフォームによって両家墓というスタイルで解決しようという現象で、今後大きなうねりが起きそうだ。

ニューデザイン賞 木付隆子さん
今回のコンテストの入賞者の多くが、自らの希望や想いをデザインに活かした「想い入れのお墓づくり」に満足し、家族の絆を再確認、明日に向けた新たなステップを踏み出すきっかけになっているようだ。

○お墓づくりに際して、母の思いと向き合ったこの半年の間、彼女の生き方、教え、家族との懐かしい時間を思い返す貴重な時間をいただきました。無事お墓も完成し、きっと満足してもらえるのではと今は達成感と充実感、安堵感でいっぱいです。(千葉県山武郡 宮崎 豊久さん)

○実際にできあがったお墓は思っていた以上の出来栄えで、私達はもちろんですが、子ども達もお墓参りに行くのが楽しみになってくれているようです。(岡山県倉敷市 中村 和夫さん)

○人生の最大のイベント結婚式が花の咲く時だとしたら、散る時も綺麗に散りたいと思い花いっぱいのお墓を建てました。最後の日に微笑んで安らかに眠りにつけるように…願っています。寿陵を建立出来て、本当に良かったと心より思っております(宮城県仙台市 村山 利男 年齢:61歳さん)


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まとめ