2009年7月1日

半アーチ型に七色の彩色、天国に架ける「虹の橋」型お墓がニューデザイン大賞に

「第15回全優石ニューデザインお墓写真コンテスト」の結果発表

管制塔型や筆とすずり型、大きな和太鼓型お墓などが入賞

少子化で廃校となった学校のお墓も特別賞に



 

 半アーチ型(四半円)の墓石に、鮮やかな赤、橙、黄、緑、青、藍、紫の7色の虹をペンキで描いた天国に架かる「虹の橋」型お墓が、「第15回全優石ニューデザインお墓写真コンテスト」の「お墓ニューデザイン大賞」に決定した。虹の橋の表面には人とペットの足跡が刻まれ、虹の下には空を連想させるガラスがはめ込まれている。ペット好きの姉妹が、亡くなったペットと、天国で再会できるように願ったペットと一緒のお墓。決して大きく、費用をかけた豪華さはない。しかし、モノクロトーンの墓地の中で、色鮮やかに光彩を放つ。小さいがキラリと光るセンスが評価されて受賞した。

 「第15回全優石ニューデザインお墓写真コンテスト」は、北海道から沖縄まで、全国の優良石材店約300社によって構成される墓石業者の全国組織「全優石」(正式名称:一般社団法人 全国優良石材店の会、会長:吉田剛、事務局:東京都品川区上大崎3-8-5)が実施したもので、今年で15回目。新しいデザインのお墓、個性的なお墓、オリジナルなお墓の写真を全国規模で公募した。応募資格はお墓の所有者かその家族、または家族の了解を得た石材店という限定付き。今年4月30日の締切までに71人から応募が寄せられた。審査の上、ニューデザイン大賞1名、ニューデザイン特別賞3名、ニューデザイン賞20名が決定した。

 大賞を受賞した姉妹は小野麻紀(あさき、35歳)さんと有紀(ゆうき、31歳)さん。姉は臨床検査技師として、また妹は介護福祉士として忙しい毎日を送る。八王子市内に住む両親の近くのマンションで二人一緒に生活する。二人ともペット好き。2004年、生後3ヶ月でチワワを亡くした。また、その後6年半一緒だったフェレットも亡くした。愛するペットを失った悲しみにくれていた頃、「ペットも入れます」という墓地のチラシを目にする。二人でさっそく下見に出かけ、2回ほど見学した後、そこに決めた。住まいからも近い。自分たちはまだまだ当分そこに入るようなことはないだろう。しかし、今はまだ元気だが、いずれ父母が逝くことがあるだろう。ペットも一緒、家族4人が一緒に入れるお墓をと、姉妹は費用を折半で出し合った。

 作者不詳の「虹の橋」(原文は英文でRainbow Bridge)という詩がサイト上で話題を呼んでいる。愛する動物たちと分かれても、天国の手前にある「虹の橋」でまた再会、一緒に虹の橋を渡りともに天国に行くという内容。姉妹はお墓のデザインのヒントを、この「虹の橋」から得た。

 形は半アーチ型(四半円)にした。半円では天国に向かわず、地上に落ちてしまう気がする。石材はピンクがかったかわいらしいものを選んだ。そこに溝を7本彫り、虹に見立てた。「ペンキで色をつけた方がいいですよ」と教えてくれたのは石材店からだった。なるほど色をつけてみると、見違えるほどカラフルでファッショナブルになった。橋の上(ブリッジロード)には人とペットの足跡を刻んだ。

 最も苦労したのは香炉入れの部分。ありし日のチワワとフェレットのデッサン画を有紀さんが描き、大理石の香炉入れに彫刻しようとしたがなかなか気に入らなかった。それでも1年近くかけて、2008年4月に完成した。

 結婚したら姓が変わるかもしれない。結婚しても再び愛するペット、愛する父母と一緒に天国で暮らせるようにと、墓石には苗字の代わりに「かぞく」と平仮名で入れた。「自分たちの第二の住処の思いで作りました。今は一生懸命生きる。でもいつかここに入るという心の拠り所、“希望”を持って生き続けたい。だから個性のない、暗いお墓はいや。お墓参りに来てくれた人もすぐに探し当てられ、楽しい気分になってくれるようなお墓づくりを目指しました」と姉妹。現在もチワワ2匹と暮らしている。

 ニューデザイン特別賞には、航空管制官だった亡夫のために、高松空港近くの墓地に滑走路、ジャンボジェット機、そして管制塔型お墓を建てた香川県高松市の野沢 妃登子さんが選ばれた。墓地の頭上には、空港を離発着する飛行機が絶え間なく行き交う。「ゆっくりと飛行機を眺めてください」と野沢さん。

 個人のお墓ではなく、ユニークな学校のお墓もニューデザイン特別賞に選ばれた。少子化の影響で、2009年3月に103年の歴史の幕を下ろすことになった北海道新十津川町の吉野小学校。雪深い未開の地を、100年以上も前に開墾し村を作り、そして学校を作った。想像を絶する物語がこの村にはあった。忘れてはいけないこの村の歴史を記憶にとどめ、さらに未来への夢と希望を創造する役割となるようにとの願いが記念碑(学校のお墓)に託される。

 さらにもう1人ニューデザイン特別賞が加わる。札幌市中央区の小原道城さんは自らの書道家人生を象徴するものとして、すずり型の墓石に自らの雅号を彫刻し、横に大きな筆を配置。「書の美術館」風に仕上げた威風堂々のお墓。このお墓建立を機に、さらに書の世界に邁進したいと決意を新たにする。

 ニューデザイン賞には、20人が選ばれた。

 北海道帯広市の大友 俊雄さんの「打てば響く」太鼓型お墓。プロパン会社を経営するかたわら、十勝発祥の和太鼓「平原太鼓」を郷土芸能として根付かせた40年間。生前にお墓を建てるなら、 「平原太鼓」の振興に結びつき、さらには愛する帯広の観光PRに役立つようなお墓をと計画。黒御影石で直径1.4メートル、幅1.5メートル、重さ5.5トンの和太鼓をドーンと正面に据えたお墓を建立した。金具やびょうなど細部にもこだわった。背屏風の左側には座右の銘である「打てば響く」を彫刻、右側にはバチを持つ打ち手が描かれている。

 テレビドラマ・映画などで俳優として活躍する東京都府中市の六平 直政さんは、弟さんが亡くなったことをきっかけに、建墓に踏み切った。武蔵野美術大学彫刻科大学院中退の経歴を活かし、オリジナルの設計に挑んだ。ステンレスの厚い板を墓石の根元に使い、墓石をヨロイのイメージではさんで守っている感じ。ひときわ高い墓石はいつも光り輝いていて気持ちがいい、と六平さん。

 鹿児島県鹿児島市の沼田 正さんは、100歳で亡くなった母親のためにピラミッド型のお墓、その横に弁才天のステンドグラスを配置した。石製のベンチも設け、母と穏やかな語らいの時間を持ちたいと語る。

 先の沼田さんもそうだが、お墓にステンドグラスを嵌め込む人が増えている。東京都町田市の林 泉さんは自然いっぱいの芝生墓地に、自作のステンドグラスを嵌め込んだお墓で入選した。

 熊本県八代市の岡野 文明さんも、バラの花をモチーフにしたステンドグラスをお墓に嵌め込み、墓石手前の貼り石にハート型の切り込みをいれ、そこに白い玉石を詰めた。墓石に刻んだ文字は「Sincere Heart」(誠実な心)。

 やはりハート型のお墓で入選した長崎県南島原市の大崎 大治さんは、若くして逝ったなき娘のためにハート型墓石にバラの花びらと「絆」の文字を刻んだ。「随所のR加工が全体的にやわらかい雰囲気をかもし出していて、娘の安らかな眠りをやさしく包んでくれている」と語る。

 愛知県岡崎市の吉沢 和美さんもハート型お墓。娘の結婚式にも出席することができずに亡くなった亡夫のために建立した。お参りに来られた友人たちから「やさしくほっとするようなお墓で長居したくなるよね。」と言われ、本当に喜んでいると語る。

 静岡県焼津市の原口 美知子さんは、退職後に竹細工を趣味としていた亡夫のために、半円形の墓石の周辺に竹、笹を彫刻した。竹林の中で眠るような落ち着きを醸し出す。

 趣味をお墓デザインに反映させる例は多いが、仙台市青葉区の日下 洋美さんは、亡夫の書を墓石に刻むとともに、夫に捧げる「愛の讃歌」のメロディを刻み、自らの人生を支えてくれた象徴として立派なグランドピアノも石で製作して配置した。

福島県喜多方市の片桐 仁志さんは、遠くの親族が集まるお彼岸などの機会も、「来てよかった」「楽しかった」の時に変えたいとの思いで、古くなったお墓の建て替えを行った。「夢」の文字を刻んだ球体の墓石は、触ったり、撫でたりして親しめるという。また球体に太陽が反射し、光と共に周りを映し出し、魚眼レンズのような美しい景色も感動できる。

 愛娘を亡くした富山県富山市の大坪 道夫さんは、娘が好きだったバレーボールの玉を墓石脇に配置し、友人たちがお参りに来ても、「ここに眠っていますよ・・」と教えてくれるお墓とした。

 北九州市八幡西区の山本 勝さんは、角ばったお墓に抵抗感を持ち、墓前に立ったときに思わず、触りたくなる、撫ぜたくなるお墓を目指した。お墓を積み重ねるのではなく、ひとつの大きな石を削り竿石に成型した。形は山が好きだった亡父をしのび山の形にし、家族全員が好きな文字「道」一文字を刻んだ。

山口県岩国市の福光 義一さんは、亡くなった母親の思い出の場所、アメリカ・セントルイス市の「ゲートウェイアーチ」をモチーフにしたお墓で入賞した。